鑑賞と取り扱い
桐箱に入れ保存してある掛軸を静かにとり出し、巻緒を外し平らで乾燥している畳等の上で風袋の長さだて広げて、風袋の折癖を直し、巻緒を右か左に寄せて,掛緒に矢筈(やはず、掛軸を高いところにかけるのに使う)を掛けて床の間の釘に正確に掛け、軸を軽く持ち広げながら最後まで手を添えて降ろします。
長く収納している軸は巻癖がついています。特に茶掛の草の表装は細く巻癖がつきやすくですが、大体一晩掛けて置けばまっすぐに掛かります。
和室では、床の間の前に両手を置き、軽く頭を下げてから拝見します。先に本紙を鑑賞し、次に一文字、中廻し、天地、軸先と見て、本紙にふさわしい裂地、色柄かを考え、全体のバランスを見ます。
本紙は人間、表装は洋服と考え、一文字・風袋はネクタイかネックレス、中廻しは上着、天地はズボン、軸先は靴、掛緒は髪留めに想定して鑑賞していただければ、普段興味のない方でも大体はお分かりになると思います。
外す際は、数日天気が乾燥した時にチリを払ってから、両手で軸を三分の二ほど巻き、矢筈を掛け静かに外してから畳等、平らな所で静香に巻き風帯を左右に折りたたみ、紐を緩めに巻き、桐箱に入れます。
細心の注意と最高の技術で作られた掛軸であっても裂と紙で作られ、八双と軸棒で支えられているだけですから、湿度の影響を受け狂います。特に新調の軸は影響が多く、直りませんので掛けっぱなしにならないようにしてください。
特に大切なことは
(1)濡れた手で触れない。
(2)濡れたところに置かない。
(3)慎重に取り扱う、特に折れると裏打ち直さないとなおりませ直りません。
(4)強く押さえない。
(5)紐は緩めに巻くこと。
(6)桐箱に納め、防虫剤を入れ湿度の低い場所で保管すること。
(7)春・秋の天気の良い日が数日続き乾いた時に陰干しをすること。
(8)出来れば毎年、最低でも数年に一度は掛軸を出し状態を確認すること。
以上のことに注意してください。
